ヨーガ療法士の先輩方が、東日本大震災の被災地の避難所や仮設住宅を訪れ、地域の皆さんと交流を深めていることは、折に触れ聞いておりました。コロナ禍で訪ねるのを控えており、久しぶりに様子を伺いに出掛けることとなり、小沢アヤ子先生、小関喜久江幹事長、小野寺厚子さんに同行し、大船渡市末崎町の皆さんを訪問させていただきました。
私は岩手県沿岸に親戚、知人がいませんので、実際に津波による被害を受けた地域の方々
にお会いし、お話を聞くのは初めてでした。ご高齢でもお一人でしっかりと生活をしている方、漁業に携わってきたが小さい船一艘だけ残し、子供と共に今できることを丁寧にして暮らしている家族、手まめな物づくりを一緒に楽しんでいるご夫妻、地域の皆さんのために集いの場を運営している館長さん、皆さん三年ぶりの訪問でも「あ、ヨーガの先生だ!」とすぐわかって、にこやかに喜んで迎えて下さいました。
ご家族で迎えて下さったお宅では、初めて会う私でも心から歓迎してくださり、至れり尽くせりのおもてなしをして頂きました。近況を伺ったり、震災時の質問にも冷静に状況を説明して下さったり、ご家族とも親しく触れ合う時間もあって、親戚の集まりのような楽しい時を過ごしました。
この度お会いした皆さんには、海と共に生活している逞しさを感じました。大地震、大津波の言い伝えが普段の生活でなされ覚悟があります。そして、自然と共に生きてきた人々は、内にある静かな強さを立ち上がる力に変えて、この11年間を生きてきたのだと思いました。
また、ヨーガ療法士の先輩方が、何度も被災地を訪ね地域の皆さんに寄り添い、交流を深めてきたからこそ、今もなおこの様に歓迎してくださるのだと知ることができました。「ヨーガの人達は、一回だけじゃなかった。」と話す方がいらっしゃったように、ヨーガ療法士の先輩の方々の働きが、地域の皆さんの心に届いているのだと感動しました。ヨーガの智慧の学びを実生活で生かしている実例を目の当たりにした末崎町訪問でした。
報告 木戸尚子